最初に
初めて2級管工事施工管理技士の試験会場に行った時の話です。明らかに工事をしなさそうな女性たちがたくさんいました。しかし2級管工事施工管理技士の1次試験ならば実務経験は不要で、もしも合格すれば2級管工事施工管理技士補になることができます。
しかし1級管工事施工管理技士補であれば経営事項審査の加点対象になりますが、2級では加点対象になりません。そういった意味では2次試験を受けて施工管理技士にならない限りは会社にとって意味がないはずなのにと思っていましたが帰り道でその理由が分かることになりました。
違和感
最初に違和感を感じたのは、日傘をさしながら歩く女性達とそれ以上に違和感を感じたゴスロリ服を着た数名の女性でした。
受験会場である大学の学生かとも思ったのですが、会話を聞く限りは2級管工事を受けに来た建設会社の女性社員のようでした。最近ではスーパーゼネコンの現場で女性を見ることも増えてきたのでおかしくはないのかなと思っていたのですが、あまりにも外を歩く時の紫外線への対策におかしいな。と思っていました。それでも建築であれば外での作業は少なくなるので内装関係かとも思っていたのですが、どうやらそんな感じでもありませんでした。
理由が発覚したのは帰り道のことでした。
ゴスロリ服の女性が同僚と話していた内容はこれです。
ゴスロリ
「土曜日に出てくるなんでめんどくさいなぁ。これで試験受かってればいいけど落ちてたら本当に無駄」
同僚女
「でもこれで二次も受かれば月額1500円の手当がもらえるから大きいよ。」
ゴスロリ
「もしも受かったら現場に行けって言われたら最悪!
もしもそんなこと言われたら私絶対辞めるから!」
同僚女
「ないない。だって私らなんも知らんから言っても意味ないもん。
現場になんかいかされないってー」
経営事項審査で加点目的の受験だったようです。
施工管理技士の不正取得について
大和ハウス工業で30年以上前から国家資格を不正取得、349人が施工管理技士に
引用元 日経XTECH
522人が国家資格など不正取得 パナソニック
引用元 朝日新聞デジタル
本来施工管理技士は実務経験がなければ二次試験を受けられないので取得することができません。しかし取得することで社員は給料に手当てがつく、会社は経営事項審査の加点になるということで会社ぐるみで実務経験の偽装を行っていたようです。
なぜなら実務経験の取得には会社の証明が必要ですし、当然ながら資格手当を支給してもらうには会社に申請してする必要がありますが、施工管理とは全く関係ない部署の社員が資格取得の手当申請をした時点ですぐに分かります。しかし実際には問題視せずに手当を支給し続けていたということは会社ぐるみと思われても仕方はないと思います。
パナソニックに関しては2006年に一度問題が発覚しましたが、それ以降も不正な資格取得が行われていました。
大和ハウス工業に関しては芳井敬一社長宛てに届いた内部通報をきっかけに社内調査が行われ発覚しました。社内調査で発覚して自ら公表という点は評価できますが、30年前からの常態化、300名を超える不正取得者ということを考えると同じレベルとしか思えないのが残念なところです。
私が思うに内部通報は、不正に取得した手当に対する不満が原因だったのではないかと思うぐらい手当目的の社員がいたのではないかと推測します。
しかしここで言えるのはおそらくは不正な資格取得が常態化しているのはこの2社だけではなくもっともっと多くの企業が行っているはずです。そういった意味では、この2社は大企業であるがゆえに見せしめのようにされたのではないかと思います。
まとめ
こういった実務経験の不正による施工管理技士の取得、経営事項審査の加点は企業規模が大きくなればなるほど、人員を投入して受験させやすく不正な加点も大きくなります。
こうやって不正な方法と大きな工事を受注して企業が利益を追求する手法は悪質かつさらに建設業の現場環境を悪化させます。
実務経験に関してはもっと簡単に確実に証明できる仕組みの導入が不可欠でしょうし、そうでなければ今後も不正な資格取得が続くと思います。罰則を厳しくしすぎると倒産して廃業することになりかねないから厳罰化をしないということなら不正な資格取得は永遠に続くでしょう。
もしかするとキャリアアップシステムを活用すればいいのかもしれませんが、現場では思うように導入が進んでいません。このあたりも今後の建設業の課題だと思われます。
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